「バージャー病」……あまり耳慣れない病気でしょうか?
バージャー病とは、手足の血管に閉塞と炎症(血管炎)が起きる病気で、皮膚に痛みや潰瘍が起こります。
そして、実は日本国内で1万人ほどのバージャー患者がいると言われています。
特に、喫煙する20~40代の男性によく見られる疾患ですので、対象となる方は注意が必要です。
また、最近、バージャー病患者のお口の中と患部の血管を調べた研究結果が発表されました。
その結果、すべてのバージャー病患者は歯槽膿漏を患っており、その程度はいずれも中度から重度の症状であることが分かりました。
国内約1万人のバージャー病罹患者において顕著な傾向は、喫煙をする20~40代の男性によく見られる四肢の閉塞性動脈を患っているということです。
この病気は、四肢の末梢血管の閉塞をきたすため、四肢や指の虚血状態(血液が十分に供給されないために起こる組織の低酸素症状)となり指やかかとに痛みや潰瘍を作ります。
自覚症状としては指の冷感や痺れ感、蒼白化に始まり、激しい痛み、さらに皮膚の欠損することもあり症状がひどくなると手や足が壊死に陥り、手足の切断に至ることがある恐ろしい病気です。
原因は特定されておらず国の難病として指定されています。
タバコを吸わない人にはほとんど起きないため禁煙することが1番の予防といえます。
以前からバージャー病は、歯の病気と関連があるとされてきました。
そしてバージャー病とその患者のお口の中の状態を調べた最近の研究では、バージャー病の患者には全員が中等度から重度の歯槽膿漏の症状があり、患部の血管のほとんどから歯周病菌が見つかったという報告がありました。
また心臓血管とともに下肢動脈の粥状硬化を調べた他の研究では、歯槽膿漏があると判断された人たちはない人たちに比べ、明らかに下肢動脈の粥状硬化が進行していたと言う報告があります。
このように口腔内の細菌の感染が、今まで全く原因不明であった病気の発症や増悪に関係している可能性が示されています。
バージャ病と喫煙の因果関係は以前から言われていることであり喫煙により歯槽膿漏が悪化することも知られています。
また、口腔ケアの行き届いた国ではバージャー病が減少した事例もあります。
歯槽膿漏を治療し歯周病菌を減らすことが、このような病気の進行予防に効果的であると言えます。