タバコ吸う人は、吸わない人に比べて圧倒的に歯槽膿漏にかかりやすく、進行も速くなり、治療しても治りにくい傾向にあることが最近の研究でわかってきました。
ある統計では、歯槽膿漏にかかるリスクは、1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し、しかも重症化しやすくなるというデータがあります。
タバコの煙には約4000種以上の化学物質が含まれそのうちの100種類が有害物質とされています。
特に有害とされるのは次の3つです。
1. ニコチン:強い依存性があります。体を守る免疫の機能も狂わせますので、病気に対する抵抗力が落ちたりアレルギーが出やすくなります。
2. タール:発がん性がある
3. 一酸化炭素:血液中で組織への酸素供給を妨げる
タバコは、歯周組織に非常に悪い影響を及ぼすことが明らかな存在です。
しかもやっかいなことに、歯肉の腫れや出血が見た目わかりにくくなり、患者さん自身が歯槽膿漏に気づきにくくもなります。
タバコに含まれるニコチンは、歯茎の血液の流れを悪くして、歯茎に酸素や栄養が十分に行き渡らします。
また歯茎の抵抗力が弱まり細菌と戦う白血球の働きが半分程度になり、免疫力も弱まっていきます。
さらには、タバコは唾液の分泌を抑えるため、プラークや歯石がつきやすくなります。
上のグラフに明らかなように、タバコの本数が多ければ多いほど歯槽膿漏になりやすく、重症化することがわかっています。
だからタバコを吸っている人は、いくらきれいに歯を磨き、例え歯科医院に通っていても歯槽膿漏が良くならないことが多いのです。
実際、治療を始めても歯肉の悪化は改善しにくく、手術を行ったとしても効果の現われ方が非喫煙者よりも低いのです。